日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医1種

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一般外科

胆嚢摘出術

摘出した胆嚢

・胆管閉塞(胆嚢粘液嚢腫)時、胆嚢破裂等の際に行う

・早期治療が必要

腫大した胆嚢
破裂した胆嚢
(周囲への癒着あり)
胆管閉塞時には早期治療が必要です 

胆管閉塞により黄疸等の症状が出たり、更に胆嚢破裂になると全身状態の悪化(気腫性胆嚢炎等:下写真)で急変します。以下の症例は、来院翌日に亡くなりました。

腹腔内遊離ガス

消化管造影:消化管穿孔所見なし

※消化管造影→尿路造影
小腸内での停滞・粘膜障害・脱水等

腹水細胞診:炎症所見(好中球主体)

(本症例:胆汁性腹膜炎)
腹水中TBIL:血中TBIL>2:1

バイパス手術

胆嚢ー十二指腸バイパス

・閉塞している通路を迂回させて通過障害を改善させる手術

・胆嚢ー十二指腸バイバス、胃ー空腸バイバス、消化管バイバス等

胃ー空腸バイパス
消化管バイパス
バイパス手術により通過障害を改善させます 

バイパス手術は、通常の手術が困難な場合(※)に行う手術です(緩和目的の場合もあります)。

※胆道閉塞解除が困難、広範囲に腫瘍が浸潤している等

胃捻転

胃固定

・胃が捻転することにより急激に全身状態が悪化する病気です

・大型犬に多い病気ですが、小型犬でも発生します

・手術(胃ガス抜去→捻転整復+胃固定:壊死組織の除去等)

X線検査(胃ガス貯留)
X線検査(胃ガス貯留)
胃捻転は緊急疾患です 

胃捻転は早期治療(※)をしないと、どんどん状態が悪くなる病気です。

※早期にガス抜去(+捻転整復)しないと多臓器不全で急変する怖い病気です。

※大型犬が食後すぐに運動すると胃捻転のリスクが高くなりますので要注意です。

消化管内異物摘出術

摘出した紐状異物

・「何回も何回も吐く」との主訴で来院

・お尻から紐状のものが観察され、 内視鏡検査にて「食道から肛門までつながった紐状異物」を確認しました

・手術で紐状異物を摘出し、症状は改善しました

 

口から紐状異物
アコーディオン状の消化管
異物摘出で消化器症状(嘔吐)が改善しました 

診察中にお尻から紐状のものを観察。回収困難であった為、内視鏡検査実施。

口の奥の方(食道入口)にも紐状のものが確認。

こちらも回収困難であった為、「食道から肛門までつながった紐状異物」と診断し、手術を実施。

消化管(複数ヵ所)を小切開し紐状異物を摘出。その後、嘔吐は改善しました。

脱腸整復術 

脱腸

・「お尻から何か出ている」との主訴で来院

・肛門から脱腸しているのを確認→整復処置

 ※腫瘍であれば摘出(直腸粘膜引き抜き術など)も考慮

整復前
整復後
脱腸が続くと腸が壊死します 

「下痢」や「しぶり・血便」等が続いている症例などは脱腸しやすいです。

寄生虫や腫瘍などにて脱腸する事が多いです。本症例は「寄生虫」による脱腸でした。

早期に整復しないと腸が壊死するので、早急に病院へ。

膀胱(尿道)結石

膀胱(+尿道)結石

・「突然尿が出ない」との主訴で来院

・X線検査・超音波検査にて、「膀胱と尿道の結石」を確認

・手術で結石を摘出。症状は改善しました

 

膀胱切開にて結石摘出
(尿道結石も回収)
摘出した結石
(小さい結石が尿道を閉塞)
「突然尿が出ない」時は、尿道に何か詰まっています

突然尿が出なくなったら、尿道に何か(※)詰まっている可能性が高いです。

※結石、炎症物(血餅・結晶)、腫瘍等

早期に「尿道の閉塞を解除」しないと、腎臓病になって急変しますので要注意です。

会陰尿道瘻

ストルバイト結晶

会陰部(お尻の下)に新しく尿道を形成する術式

・何回も繰り返す尿道閉塞の症例で行う事が多い

 ※オス猫の尿道閉塞(ストルバイト結晶等)など

手術所見
(尿道形成中)
手術後の外貌
(会陰部に尿道形成)
何回も繰り返す尿道閉塞には手術の検討を

尿道閉塞(尿が出なくなる)は突然おきます。閉塞が続くと腎臓病になり急変します。

最初は、尿カテーテルによる閉塞解除となりますが、何回も繰り返す場合は手術の検討も必要です。

会陰ヘルニア 

飛び出した膀胱・前立腺
《「尿が出ない」にて来院》

・会陰(お尻の周り)部へ「消化管・膀胱・前立腺など」が飛び出し、大きくはれる症状です

手術による早急な整復が必要

ヘルニア整復前
ヘルニア整復後
お尻周りが腫れてきたらすぐに病院へ 

会陰ヘルニアでは消化管だけではなく、膀胱が飛び出してくる事もあります。

その際には急に尿がでなくなりますので、早急な治療をしないと腎臓病で急変しますので要注意です。

臍ヘルニア(嵌頓症例) 

臍ヘルニア
(嵌頓:急に硬くなった)

・臍(おへそ)部へ「脂肪・消化管など」が飛び出し、大きくはれる症状です

・嵌頓時(本症例)には早急な手術が必要

お腹の中の脂肪が「おへそ」から飛び出している
ヘルニア輪
臍ヘルニアでも急に大きくなったり硬くなったら要注意 

臍ヘルニアの初期はお腹の脂肪が出ているだけで柔らかいですが、硬くなったら要注意です。

お腹の臓器がしめつけられ(嵌頓)、血行障害により壊死を引き起こします。早期治療が必要です。

鼠径ヘルニア(嵌頓症例)

巨大鼠径ヘルニア
(硬くなってました)

・鼠径(お股)部へ「脂肪・消化管・膀胱・子宮など」が飛び出し、大きくはれる症状です

・嵌頓時(本症例)には早急な手術が必要

 

血行障害により変色した腸
消化管吻合
(血行障害の腸を切除)
鼠径ヘルニアでも急に大きくなったり硬くなったら要注意 

鼠径ヘルニアの初期はお腹の脂肪が出ているだけで柔らかいですが、硬くなったら要注意。

お腹の臓器がしめつけられ(嵌頓)、血行障害により壊死を引き起こします。早期治療が必要です。

椎間板ヘルニア

摘出した椎間板物質

・「左後肢を急にひきずる(麻痺)」との主訴で来院

・CT/MRI検査にて診断

・手術で椎間板物質を摘出し、症状は改善しました

 

MRI検査
MRI検査
急な後肢麻痺は椎間板ヘルニアに注意 

ミニチュア・ダックス等に多い病気です。

急に発症する病気で、椎間板物質(責任病変)の神経圧迫によって麻痺等を引き起こします。

排尿障害が出る場合もありますので、尿をしているかの確認がとても重要です。

舌部分切除(一部壊死)

舌の一部壊死

・「舌の一部が白い」との主訴で来院

・舌部分切除にて壊死組織を除去

舌部分切除
(壊死組織の切除)
術後1週
舌の一部壊死は尿毒症との鑑別も必要です 

舌の一部壊死は、自ら噛んでしまった場合や尿毒症(腎臓病の末期)などで見られます。

本症例は、血液検査は問題なく、舌に歯が貫通していた事から、自ら噛んで一部壊死になっていました。

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